IMPORTANT / MEASUREMENT GUIDE

測定値は機器で異なる。
同一機器名でも誤差は存在する。

透過率測定器は、測定波長・光源・受光特性・演算方法によって実測値が変わります。今回の実測でもTM2000(無印)とPT-500は異なる結果になり、TM2000JPであってもPT-500と完全に同じ値になるとは限りません。

実測差の範囲+2.7〜+3.4%今回の3サンプルではTM2000(無印)側が高めに表示。
重要な区別TM2000 ≠ TM2000JP写真のTM2000は無印モデル。TM2000JPとは仕様・運用が異なります。
判断基準70%以上前面ガラス・運転席/助手席側は、貼付後の状態で余裕を持って確認。
グロウローズAR88の実測例。無印TM2000は93%、PT-500側は89.6%。同じサンプルでも約3.4%の差が出た例です。
グロウローズAR88の実測例。無印TM2000は93%、PT-500側は89.6%。同じサンプルでも約3.4%の差が出た例です。

この記事の結論

測定値は、使用する機器によって異なります。これは、同一機器名の測定器であっても個体差、校正状態、測定条件による誤差が存在するためです。

さらに透過率測定器は、測定波長、光源、受光特性、演算方法によって実測値が変わります。つまり、同じフィルムと同じガラスを測っても、どの測定器で、どの条件で測った数値なのかによって結果が変わるということです。

これらを前提にすると、今回のTM2000(無印)とPT-500での実測値が異なったことは自然な結果です。また、TM2000JPで測定した場合でも、PT-500と完全に同じ測定値になるとは限りません。測定値を見るときは、機器名だけで判断せず、測定原理と測定条件をあわせて確認する必要があります。

今回の実測値

同一サンプルを複数の測定器で確認したときの表示差です。

サンプル無印TM2000PT-500側
グロウローズAR8893.0%89.6%+3.4%
透明遮熱フィルム93.0%90.3%+2.7%
実測サンプル75.0%72.1%+2.9%
この3例では、無印TM2000がPT-500側より高く出ました。ただし、すべてのフィルム・すべてのガラスで同じ差になるという意味ではありません。
透明遮熱フィルムの実測例。無印TM2000は93%、PT-500側は90.3%。透明系でも測定器差が確認できます。
透明遮熱フィルムの実測例。無印TM2000は93%、PT-500側は90.3%。透明系でも測定器差が確認できます。

なぜ測定器によって数値が変わるのか

まず、測定器はどの波長をどのように測定しているかによって、表示される数値が変わります。TM2000は、計測波長550nm、帯域幅50nmの測定として扱われます。

一方、PT-500 / PT-50は、単一波長だけで判断する簡易透過率計ではありません。JIS R3212や窓ガラス技術基準で扱われてきた測定の考え方に基づき、A光源相当の白熱光と、CIE視感度 y(λ)に対応した受光特性により、可視域全体の透過光束比を測定する直接測定法の測定器として扱われます。

したがって、TM2000とPT-500 / PT-50では、光の取り方、重み付け、計算方法が異なるため、実測値も異なります。

さらに、測定対象となるフィルムやガラスによっても結果は変わります。ゴースト系、オーロラ系、透明遮熱系のフィルムは、干渉しやすい波長、反射率、透過色、ガラスとの相性がそれぞれ異なります。そのため、測定器によって上振れすることもあれば、下振れすることもあります。
PRACTICAL IMPACT

測定器が変われば、合否判断も貼れるフィルムも変わる。

透過率測定器の違いは、数値の差だけで終わりません。どの測定器で確認するかによって、合法で貼れるフィルムの候補や、車検・入庫確認での判断が変わることがあります。

施工店側選べるフィルム幅が変わるTM2000系で余裕が出るフィルムでも、PTシリーズでは厳しく出る場合があります。
検査側その場の数字が判断材料現場では測定器差が補正されず、表示された数値で判断されることがあります。
注意点施工店と検査機関の機器違い施工時と検査時の測定器が違う場合は、特にリスク説明と余裕が必要です。

測定器が変わると、合否と貼れるフィルムも変わる

今回の実測結果をベースにすると、測定器の違いは単なる表示誤差ではありません。使用する測定器によって、車検や入庫確認での合否判断、さらに合法施工として提案できるフィルムの範囲まで変わります。

TM2000系の測定器では70%以上を確保できるフィルムでも、PT-500やPT-50などのPTシリーズで測ると数値が低く出る場合があります。その場合、TM2000系を基準にすれば貼れるフィルムが増える一方、PTシリーズを基準にすると、ガラスの素の透過率によっては貼れない、または選べるフィルムが極端に制限されることがあります。

ここで重要なのは、測定器違いによる誤差が現場で自動的に考慮されるわけではないという点です。検査場、整備工場、入庫確認の現場では、その場で使用された測定器に表示された数字が判断材料になります。つまり、施工店では問題ない数値だったとしても、検査機関側で別の測定器を使い、そこで70%未満と表示されれば、現場では不適合として扱われる可能性があります。

そのため、施工店と検査機関で測定器自体が異なる場合は特に注意が必要です。フロントガラスや運転席・助手席ガラスにフィルムを貼る場合は、希望する見た目だけでなく、どの測定器で確認するのか、どれくらい数値に余裕を持たせるのか、検査や入庫確認をどこで受ける予定なのかまで含めて判断する必要があります。
75%前後の実測例。無印TM2000は75%、PT-500側は72.1%。70%付近では数%の差が判断に直結します。
75%前後の実測例。無印TM2000は75%、PT-500側は72.1%。70%付近では数%の差が判断に直結します。

無印TM2000とTM2000JPは同じ扱いにできない

今回の写真に写っているTM2000は、無印TM2000です。TM2000JPとは別の仕様として扱う必要があります。

ラビニール公開資料では、TM2000JPは日本仕様、TM2000は米国仕様と整理されています。校正基準や内部設定が異なるため、同じ条件で測っても数値に差が生じます。さらに、対象モデル資料では、JP印字や取扱説明書の条件、対象外シリアルの確認が案内されています。

そのため、無印TM2000の測定値を見て「TM2000JPでも同じ」「車検判定にそのまま使える」と考えるのは危険です。記事内の実測写真は、あくまで無印TM2000とPT-500側で差が出ることを示すものです。
TM2000JP

対象モデルなら、仕様根拠を示して運用する測定器

LED光源であることだけを理由に不可とするのではなく、標準光源A相当の光源・構成など、保安基準に準拠する根拠をメーカーが提示できるかが重要です。

TM2000

写真の無印モデルはJPとは別物

無印TM2000は米国仕様として扱われます。今回の実測写真は、無印TM2000の数値を車検判定値として扱うためのものではありません。

2026年5月17日時点の測定器に関する整理

2026年5月17日現在の当店整理では、可視光線透過率測定器は法令上の「指定器具」ではなく、PT-50やPT-500は例示として示された機器です。PT-500以外はすべて不可、という意味ではありません。

TM2000JPについては、製造メーカーが保安基準第29条第3項に規定された要件を満たす仕様・根拠を提示できる対象モデルであれば、保安基準確認の測定器として使用できる、という整理になります。LED光源だから不可、という単純な話ではありません。

ただし、ここでいうTM2000JPは対象モデルの話です。無印TM2000、US仕様、対象外シリアル、JP仕様であることを確認できない個体は同じ扱いにできません。実務上は、使用する測定器の型式、対象モデル確認、校正・日常点検、測定記録を残すことが重要です。

70%付近で特に注意すべき理由

フロントガラス、運転席、助手席のガラスは、貼付後の状態で可視光線透過率70%以上を確保できることが重要です。

今回のように測定器差が約3%出る場合、無印TM2000で72〜73%と表示されても、PT-500側では70%前後または70%未満になる可能性があります。つまり、ギリギリの数値で施工判断をすると、検査場・整備工場・入庫先での判断が割れるリスクが高くなります。

NEXT VISIONでは、測定器の表示値だけでなく、使用フィルム、ガラスの素の透過率、施工後の余裕、測定条件、入庫予定先の運用まで含めて説明します。ただし、当店での測定は最終的な車検合否や整備工場での入庫可否を保証するものではありません。

測定するときの実務チェック

・測定器の型式を確認する。無印TM2000とTM2000JPを混同しない。
・TM2000JPの場合は、JP印字、取扱説明書、対象外シリアルの確認を行う。
・空測定(カラ測定)は日常点検として行う。測定値の補正や合否判断の根拠として扱わない。
・ガラスを清掃し、フィルムの浮き、傷、重なり、センサー位置のズレを避ける。
・1か所だけでなく、条件をそろえて複数回測定する。
・70%付近では、1台の測定器の数値だけで断定しない。
・お客様へは「測定値」「使用測定器」「測定日時」「測定位置」を記録して説明する。

この手順を省くと、施工店、整備工場、検査場、お客様の間で認識がずれやすくなります。特にゴースト系・オーロラ系・透明遮熱系のフィルムでは、見た目が薄くても数値が下がることがあります。
SOURCES

測定器と保安基準の確認資料

道路運送車両の保安基準 第29条 細目告示 第117条 ラビニール TM2000JP Q&A TM2000JP 対象モデル資料 アフターマーケット2026年5月号資料 JEMIC 透過率測定FAQ

本記事は公開資料と当店実測をもとに整理しています。制度・運用は変更される場合があるため、最新資料と測定器メーカーの案内もあわせて確認してください。

よくある質問

TM2000で70%以上なら車検も大丈夫ですか。

TM2000(無印)の場合、現段階では保安基準に準拠した測定器とは言えません。そのため、TM2000(無印)で70%以上と出たことだけで車検適合を断定するのは避けるべきです。ただし、最終的な判断は現場の検査官・検査員によって行われるため、その場でOKと判断されれば、その現場では問題ない扱いになります。

TM2000JPは車検や入庫確認で使えますか。

TM2000JPは、対象モデルであれば問題なく使える測定器として整理しています。ただし、判断する側によって使用する機器や運用が異なるため、場所や判断する人物によってはTM2000JPの測定値を受け付けない場合もあります。

なぜ透明フィルムでも数値差が出ますか。

透明と無色透明は文字通り意味が異なります。カーフィルムでいう透明とは、ゴーストフィルムや透明遮熱フィルムなど、視界を確保できる透明系フィルムを指すことがあります。透過色、つまり貼ったあとに車内側からも色味があるように見えるフィルムでも、視界を遮らなければ透明系フィルムです。ただし、無色透明ではない場合がほとんどです。測定器差は、この透過色や波長ごとの透過・反射・吸収特性によって出ることがあります。

NEXT VISIONの測定で車検合格を保証できますか。

他店で車検を受ける場合は、当店で車検合格を保証することはできません。検査場、整備工場、担当する検査官・検査員、使用する測定器によって判断が異なるためです。一方、当方に車検をご依頼いただく場合は、合法施工であることを前提に、検査時に当方で測定・確認を行います。そのため、フィルムに関しては問題なく通すことが可能です。